【県警音楽隊(上)】華添える「旗」胸張って 体と距離一定に

 
カラーガードに挑戦する記者(右)。何度も同じ指摘を受け、心が折れそうになる

 「県警の音楽隊に参加してみない?」。事件などを担当する新人記者として、普段の取材活動の中で接することの多い警察官から、声をかけられた。「なぜ、警察が音楽?」。疑問に思ったが、迷うことなく答えた。「やります」。楽器経験はないが、めったにできることではない。しかも、最後はステージに立ち、お客さんの前で演奏するという。新人記者に大事なことは「何でも挑戦すること」。早速、練習に参加してみた。(報道部・八巻雪乃)

 練習場所は、福島市にある県警察学校。カラーガードと楽器演奏は別々に練習しているという。リーダーの斎藤愛美さんに教わりながら、まずはカラーガードを体験してみた。カラーガードは1メートル以上ある旗を自由自在に操り、演奏に「華」を添えることが主な役割。旗を手にしてみると思ったより軽く、「これならできるかも」と少し自信が湧いた。

 カラーガードを美しく見せるこつは、背筋を伸ばして胸を張る姿勢を崩さないこと。この姿勢を保ったまま、旗がぶれないように動かすことが大事だという。そのほか「旗と体の距離が近すぎない」「周りと動きをそろえる」なども必要になる。これが簡単そうに見えて、意外と難しい。何度も同じ注意を受けたため、初めに抱いていた自信が打ち砕かれ始めた。

 続いて、楽器演奏にも挑戦した。練習したのは、ドラムとトランペット。どちらも見たことはあるが、触るのは初めて。「楽しそうだし、ドラムならできるかな」。元来は楽観的な性格のため、根拠のない自信だけが湧いてきた。

 だが、現実は甘くはなかった。ドラムは手と足が違う動きをしてたたくが、頭で分かっていても、体が思うように動かない。リズムに乗れず、きれいな音も出ない。トランペットでは、うまく唇を振動させることができず、音を鳴らすことすらできない。「初めから音は鳴らないもの。頑張って」。隊員たちからの励ましが、落ち込む自分を奮い立たせてくれた。

 費やした練習時間は延べ4~5時間。上達した感覚はまったくない。「本当にステージに立てるのかな」。不安と焦りが生まれてきた。

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 県警音楽隊 1954(昭和29)年に設立され、県民と警察を結ぶ「音の懸け橋」として、交通安全パレードや警察行事などで演奏活動を行っている。トランペットやホルン、パーカッションなどの楽器演奏のほか、カラーガードを使った演技もある。現在は31人の隊員が所属。動画投稿サイト「ユーチューブ」の県警公式チャンネルで、演奏の様子を配信している。

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 記者への挑戦募集中

 企画「TRY」では、本紙記者にチャレンジしてほしいこと、体験を通して魅力や苦労を知ってほしいことを県民や企業・団体などから広く募り、記者がその"挑戦"を受けて体験、掲載していきます。

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