【県警音楽隊(下)】県民思う心、演奏に... 聴衆、手拍子と笑顔

 
(写真上)タンバリンを演奏する記者(左)(写真下)演奏終了後、隊員と記念撮影をした

 県警音楽隊の練習に参加し、心が折れかけていた。それでもステージに立つ日は待ってくれない。「頑張らないと」。心を奮い立たせる。(報道部・八巻雪乃)

 ドラムやトランペットに加え、タンバリンも練習した。「当日はタンバリンや鉄琴を演奏してもらうことになると思う」。楽長の佐藤修さん(49)から示唆された。

 公演前日の練習。隊員たちは最後の音合わせに余念がなかった。その横で演奏を聴きながら、自分がそこに加わるイメージを膨らませていく。「明日は落ち着いて一緒に頑張りましょう」。隊員からの掛け声に、覚悟を決めた。

 公演の当日、会場の道の駅ふくしま(福島市)に到着。記者はタンバリンと鉄琴を演奏することになった。「失敗したらどうしよう」。表情はひきつり、手が震える中、隊員と同じ衣装で、いざステージに向かった。

 100人以上の聴衆を前に、幕が開ける。記者が演奏したのは2曲。目の前の聴衆が見えないほど曲に集中したが、途中から心に余裕ができたのか、聴衆の顔が見えた。音楽に合わせて手拍子をし、笑顔を見せる聴衆もいた。「楽しいな」。少し緊張がほぐれた。

 演奏時間は数分。ステージを降りると、緊張感から解放された。「無事終えることができて良かったね」。隊員たちから声をかけられ、苦労が吹き飛んだ。

 体験を通して、ふと疑問が湧いた。「普段の警察活動が忙しいのに、なぜこんなに熱心に取り組むのだろう」。4月に入隊したばかりの富沢美月さん(24)に聞くと、なるほどと思った。「高校時代に音楽隊の演奏を聴いたことで、警察に入った。音楽隊をきっかけに、警察をより身近に感じてもらいたい」。音楽隊の活動は、警察活動にもつながっているのだ。

 警察というと、怖いイメージがあった。だが挑戦を通して感じたのは、怖いだけではなく、県民のためを思う気持ち。「音楽隊は県民と警察を結ぶ音の懸け橋。警察を身近に感じてもらえる存在になりたい」。佐藤さんの言葉が、記者の心に響いた。

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 県警音楽隊の活動状況 県内各地で演奏会を開くなどしていたが、新型コロナウイルスの影響で、2年ほどは演奏する機会が少なかった。定期演奏会を年1回行っており、本年度は福島市で開催する予定。そのほか、8月18日に二本松市の東和長寿大学で演奏する予定があり、それ以外の演奏活動予定は県警ホームページに掲載されている。

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 記者への挑戦募集中

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