【ブンケン歩いてゴミ拾いの旅】拾っているのは希望なんだ

 
「希望のカケラ」を集める(左から)ブンケンさんと民友法被姿の本田、佐藤両記者=郡山市

 福島中央テレビの番組「ゴジてれChu!」のコーナー「ブンケン歩いてゴミ拾いの旅」に、新入社員を代表して挑戦した。福島民友新聞社からは昨年に続いて2度目の参加で、もはや新入社員の登竜門だ。テレビを通して見ていた「ブンケンさん」こと、郡山市出身の俳優鈴木文健さん(32)に同行し「希望のカケラ」を集めた。(編成部・本田嵩大記者、佐藤健太記者)

 郡山田村→平田 10キロ
 
 行程は郡山市田村町から平田村の道の駅ひらたまでの国道49号沿いの約10キロ。参加した2人は紙面のレイアウトを担当する編成部に所属する。夜型のデスクワークのため、早朝に動くことが久しぶりで、長距離を歩くのも大変だ。

 会社代表の気持ちを込めて「民友法被」を着用し出発。だが、雨天も相まって序盤はやる気のエンジンがかからない。すると、ブンケンさんがごみを「希望のカケラ」と呼ぶ理由を教えてくれた。「ごみを拾えば美しい福島に近づく。だからこれはごみではなく、希望なんだ」。信念の言葉に納得し、やる気が湧いた。

 雨が強まっても気にならないほど夢中でごみを拾い集めた。道端には空き缶や車の部品などあらゆるごみが落ちている。最も嫌なのは尿入りのペットボトル。強烈な臭いに怒りを覚えた。なんでこんなことをするのか、理解ができない。

 「心ない行為に失望することもある。だが活動を通して県民の意識、特に子どもたちに良い影響が及ぶことを期待している。将来はきっとごみがなくなるはずだ」と話すブンケンさん。大変な作業の中でも福島の未来を見据えていた。目的地に着き、この日拾った希望のカケラを眺め、美しい福島になることを願った。

 雨天、地元の「思いやり」が支えに

 雨天の中でも頑張れたのは、地域の人々の温かさに触れたからだ。感謝の言葉とともに栄養ドリンクをくれた沿道の住民、作業する姿に涙が出ると言って温かい缶コーヒーを差し入れてくれた方。「ありがとう」の言葉にうれしくなって、自然に力が湧いた。

 平田村を歩いていると、平田自動車工業(同村)会長の鈴木巴さん(78)が声をかけて事務所の中に招き入れ、ずぶぬれの状態を見てタオルを差し出し、温かいたい焼きを買ってきてくれた。そこで鈴木さんが語った「思いやりの大切さ」が心に響いた。ごみを捨てれば嫌な思いをする人が必ずいることを知った一方、見ず知らずの人たちの応援ももらった今回の挑戦。世の中、相手を思いやる心を持てば何事もうまいく。そう強く感じ、社会人として大切にしていきたいと思った。

 ブンケン歩いてゴミ拾いの旅 放送開始は2020年1月。福島中央テレビ制作担当部長の皆川実成さん(53)が「福島に貢献できるコーナーにしよう」と企画を思い付き、ブンケンさんを主役に据えて始まった。いわき市の海岸をスタートし、今月24日の放送分までに歩いた総距離は約1822キロ、拾ったごみの総重量は約11トン。コーナーは全国の民間放送事業者でつくる民放連の22年民放連賞の特別表彰部門・放送と公共性の優秀賞を受けた。

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