【白河だるま(上)】ずっしり...意外と力仕事

 
紙の繊維が溶け込んだ液に木箱を入れる記者。木箱はずっしりと重く、何度もやるのは大変な作業だ

 12個の白河だるまを会社の机に飾っている。白河市で生活している間に、すっかりだるまファンになってしまった。コレクション欲は収まらず、同市のだるまランドで13個目のだるまを探していると「だるま、作ってみない?」と白河だるま総本舗14代目の渡辺高章さん(30)に声をかけられた。だるまファンとして、断る理由はない。さっそく挑戦した。(白河支社・伊藤大樹記者)

 訪れたのは、同本舗がだるまを製造している白河市内の製造所。約6600平方メートルの敷地で、数多くのだるまを製造している。全国にはさまざまなご当地だるまがあるが、この規模の製造所は3社しかないという。

 「とりあえずこれに着替えて」。渡辺さんから手渡されたエプロンを身にまとい、製造所の中に入ると、水がたまっている大きなプールのようなものが見えてきた。「ここには紙の繊維が溶け込んだ液が入っていて、だるまの型を作るのに利用します。だるまの原料は紙なんです」。なるほど、そうだったのか。

 5キロの木箱、沈めて型づくり

 作業が始まると、横幅1メートルほどの木箱を渡された。木箱の中には6個ほどのだるまが作れる型が入っており、先ほどのプールの中に沈めると、紙の繊維が溶けた液がだるまの型になって固まる仕組みになっているという。木箱を沈めてしばらく放置し、脱水すると、木箱の中にだるまの基となる型ができた。木箱は5キロほどあり、ずっしりとした感触。この作業を繰り返したら...。「かなり力が必要だな」と感じた。

 「昔はコウゾが原料の和紙を一枚一枚手張りしてたんだよ」と渡辺さん。しかし今は回収紙や森林認証材などが原料になっていて、「だるまもエコの時代だから」と笑う。

 乾燥した型に土粘土でできた土台を合わせ、形が完成した。「この土粘土が何度でも起き上がるだるまの秘密」と渡辺さん。重心が下にあることで、起き上がるのだという。

 次はいよいよ、だるまに魂を吹き込む絵付けに挑戦する。センスがなく、学生時代から美術が苦手だったが、最後まで諦めずに完成させたい。

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 だるまランド 白河市横町に昨年7月にオープンした観光施設。「見て、学んで、楽しんで」をテーマに、絵付け体験や職人の絵付け見学ができるほか、さまざまな種類の白河だるまが販売されている。今年9月には東京都の浅草メトロ通りに「だるまランド浅草店」もオープンした。

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