minyu-net

連載 ホーム 県内ニュース スポーツ 社説 イベント 観光 グルメ 健康・医療 購読申込  
 
四字熟語TOP
漢字の世界164

 

四字熟語
【2006.07.29】
壺中之天(こちゅうのてん)

壺の中の世界、別天地

 壺(つぼ)の中の世界。別天地。『漢書(かんじょ)』の方術(ほうじゅつ)伝(術を使う人の伝記)に見える話。

 漢代に費長房(ひちょうぼう)という男が、市(いち)の役人をしていた。ある時、2階から見ていると、市場の薬売りの老人が店頭に壺を掛けていて、店じまいするとピョンと壺の中へ飛び込んだ。市場で気がついた人は誰もいない。

 費長房だけがこれを見、その老人に頼んで一緒に壺の中へ入ることができた。入ってみると壺の中には立派な建物が並び、うまい酒やごちそうが満ちあふれている。2人で飲んで帰った、と。

 壺の中にユートピアがあったわけだ。話はこれだけで至って簡単だが、こういう短い話にだんだん尾鰭(おひれ)がついて、唐代に流れ「伝奇(でんき)」となり、小説の源になる。


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 

福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29
ネットワーク上の著作権(日本新聞協会)
国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN