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漢字の世界173

 

【2006.8.9】 
清風明月(せいふうめいげつ)

誰でも楽しめる天の授り物

 きょうは陰暦の7月16日。宋の元豊(げんぽう)5(1082)年の今夜、蘇東坡(そとうばは)名高い「赤壁賦(せきへきのふ)」を作った。

 「…惟(た)だ江上の清風と山間の明月とは…此れ造物者(ぞうぶつしゃ)(神)の無尽蔵(むじんぞう)なり」(江上に吹く清らかな風と、山の端(は)に上(のぼ)る明るい月とは、神さまの賜り物だ)と詠うたう。

 「無尽蔵」とは、いくら使ってもなくならない蔵(くら)の意。清風と明月は、誰だれでも楽しめる天の授(さずか)り物だ。

 この語の直接基づくものは、李白の詩、「清風朗月(ろうげつ)一銭の買うことを用いず」である。朗月は明月と同じ。清風と朗月は一銭もいらない、ただで楽しめる、と。

 蘇東坡47歳。当時黄(こう)州(湖北省)へ流されていた。この夜、三国時代の赤壁の古戦場に舟を浮かべ、清風明月を楽しんだのだ。


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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