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漢字の世界179

 

【2006.8.17】 
危急存亡(ききゅうそんぼう)

生か死か、さし迫る

 生きるか死ぬか、さし迫っていること。

 「危急」は、さし迫って危うい。「存亡」は、存続と滅亡。生きるか死ぬか。

 出典は諸葛孔明(しょかつこうめい)の「出師表(すいしのひょう)」。「今、天下三分し、益(えき)州疲弊(ひへい)す、此(こ)れ危急存亡の秋(とき)なり」(今、天下は魏(ぎ)と呉(ご)と蜀(しょく)の3つに分かれ、中でも蜀〈益州〉は疲(つか)れ弱っていて、生きるか死ぬかの瀬戸際(せとぎわ)です)

 孔明が出陣に当たって、蜀主劉禅(りゅうぜん)(劉備(りゅうび)の子)に奉(たてまつ)った文章である。

 「危急存亡の」といったのは、秋は万物が成熟する大事な時だからで、今が秋だというのではない。こういう場合には秋(とき)と読む。

 孔明は五丈原(ごじょうげん)で陣没(じんぼつ)し、「乾坤一擲(けんこんいってき)」(29回・2月18日)の大勝負は失敗に終わり、蜀はやがて亡びる。


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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