minyu-net

 
 
四字熟語TOP
漢字の世界254

 

【2006.11.15】
敝衣破帽(へいいはぼう)

身なりにかまわない様子

 破れた着物や帽子。転じて、身なりにかまわないさまをいう。

 前回の”蛮カラ”の続き。「敝衣」は、『史記』に用例があるが、「破帽」の方は熟語としてはどこにも見えない語である。帽子ではなく履(くつ)なら、『後漢書(ごかんじょ)』(後漢の歴史)に「敝衣縄履(じょうり)」という4字の熟語が見える。「縄履」は縄で作ったくつのことで、粗末なくつを意味する。また、「破履」という語が蘇東坡の文章にある。意味は同じ。

 思うに、”破れ帽子”というのは日本の近代的産物ではなかろうか。明治になり学生たちがエリートの象徴として帽子をかぶった。それを敢(あえ)てぼろぼろにして、敝(やぶ)れた着物とともに、世俗から超然としたポーズを気取ったものだ。


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


〒960-8648 福島県福島市柳町4の29
ネットワーク上の著作権(日本新聞協会)
国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) 2001-2004 THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN