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漢字の世界271

 

【2006.12.05】
唇歯輔車(しんしほしゃ)

持ちつ持たれつの関係

 唇(くちびる)と歯、頬(ほほ)骨(輔)とあごの骨(車)とのように密接な関係。互いに持ちつ持たれつの関係、助け合う関係を喩(たと)える。

 『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』に見える話に基づく。晋(しん)の軍が虞(ぐ)の地を通って●かくを攻めようとした。虞の王は通すことを承知しようとしたが、家臣の宮之奇(きゅうしき)が「いけません。虞と●は唇歯輔車の間柄です。●が亡びたら虞も必ず亡びるでしょう」と言った。

 強大な晋に対して、弱小の虞と●は互いに助け合わなければならないことを説いたのである。宮之奇はこのあと諺(ことわざ)として「唇亡歯寒」(唇亡びて歯寒し)の語を引いている。

 唇がなくなれば歯がむき出しになって寒い、という意味で、これも助け合いをいう四字熟語となった。 

●は”孚”と”虎”の合わせ文字

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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