【10月11日付編集日記】ノーベル平和賞

 

 きょうノーベル平和賞が発表される。平和賞は、はたして受賞者がそれにふさわしいかと議論が起きることもあるのが常だ。一方で、だれよりも平和賞にふさわしいと思う20世紀の偉人が受賞していないのは不思議な気もする

 ▼その人は、インド独立の父マハトマ・ガンジー。今年はガンジーと縁が深い。さる2日はガンジーの生誕150年だった。それに加え、いまから100年前の1919年4月6日、反英国闘争を弾圧する法律に抗議し、ガンジーが指導する抵抗運動が始まった

 ▼7日後、植民地政策に抗議するために集まった非武装の市民を虐殺した事件が起き、運動は拡大し、ガンジーは民族運動の全国的な指導者となった

 ▼不当な支配に抗議するための「不服従」、そして「非暴力」。ガンジーの思想は、その後の社会運動の手本となった。米国のマーチン・ルーサー・キング牧師らに影響を与えたことが知られる

 ▼広島市の松井一実市長は、今年の平和宣言で、ガンジーの言葉を引用して、次のように述べている。「不寛容は、それ自体が暴力の一形態であり、真の民主的精神の成長を妨げるものです」。不寛容の時代にあってガンジーの生き方が今に問いかけるものは重い。