【10月13日付編集日記】古民家カフェ

 

 銀行のビルや飲食店が立ち並ぶ会津若松市の一之町通り沿いに、その建物はある。近代化する街並みに一軒だけ取り残されたような江戸時代のたたずまいは、ちょっとしたタイムスリップ感覚だ

 ▼1624年創業の竹問屋「竹藤(たけとう)」。現在の建物は江戸末期に建てられ、戊辰戦争の戦火も免れた。上げ下げして開閉する木製シャッターのようなしとみ戸や雪障子戸は、今ではほとんど見られない貴重な構造だ

 ▼14代目まで続いたが跡取りがいなく存続困難な状況に陥った。外に嫁いだ次女の笠間和歌子さんが「何とか残したい」と思い立ち母屋を改装して古民家カフェにすることを発案した。クラウドファンディングで改装費用を募る

 ▼「昔から残さなければとは考えていたが、ようやく動きだせた」と笠間さん。高校卒業時に担任教諭から「あの店を残してほしい」と懇願されたことが印象に残っているという。貴重な歴史遺産を残す覚悟は決まった

 ▼個人での改装のため膨大な改装費用をかけるわけにはいかない。ただ、牛や馬をつないだために丸くなった柱など、今ある姿を残すことができれば、それが地域の財産になる。笠間さんの挑戦が成功し、会津の歴史に光が当たることを願う。