【10月16日付編集日記】日本8強進出

 

 ラグビーの元日本代表監督を務めた故宿沢広朗さんは学生時代、敵陣に向け味方が蹴ったボールが走り込む味方の胸元にすっぽり収まり、そのまま逆転トライで日本一を手にした試合を経験した。当時の新聞は「ラッキーだ」と書いた

 ▼中心選手だった宿沢さんはこう反論した。「ラグビーボールがどう転がるか分からないのは誰でも知っている。相手の背後にボールを蹴り、集団で追ってチャンスを広げる練習を毎日してきた。それが大事なところで実った」

 ▼ラグビーのワールドカップで、日本が前回大会で敗れたスコットランドに勝って、8強に進んだ。日本が同チームに勝ったのは30年ぶり。しかも前回は相手がやや格落ちのメンバーで臨んだため、正式な国際試合に認定されなかった

 ▼初勝利の監督が当時38歳の宿沢さんだ。相手の練習をグラウンド脇のビルから偵察し、防御のすきをつく戦術を徹底させたのが功を奏した。青年監督は「約束通り勝ちました」と勝つべくして勝ったことを誇った

 ▼堅い守備で相手選手の前進を阻んだ今回の勝利もまた、ラッキーではない。雪辱を期した4年間の準備のたまものだろう。必然の勝利は、台風で傷ついた人たちを元気づけてくれた。