【10月17日付編集日記】新聞週間

 

 原発などに絡むフィールドワークを続けているいわき市出身の社会学者、開沼博さんは磐城高時代に聞き、十数年たった今でも忘れられない講演があるという。講師は、報道機関に勤める同校のOBだった

 ▼「フランス革命のような歴史的事件を私たちが知ることができるのは、多くの人が熱狂する傍らで淡々と目の前に起こる物語を書き残そうとする人がいたからだ」。開沼さんはたとえ主役や脇役にならずとも社会に役立つ仕事があるのだ―と強い影響を受けたという

 ▼新聞週間が始まった。今年の代表標語は徳島市の中学2年生、小林大樹さんの「新聞を開いて僕は世界を知った」。小林さんは、世界には戦争で勉強する機会のない子がいることを新聞で知り、標語を思いついた

 ▼新しい情報をいち早く届けること、詳しい記録を後世に残していくことが新聞の大きな二つの役割だ。今回の台風19号でも新聞に求められているのは、被害をこれ以上広げないための情報と、次の被害を防ぐための検証に役立つ記録だろう

 ▼今まさに書き残しておかなければならないことが目の前にある。次第に明らかとなる被害状況は非常に厳しいが、しっかりと向き合っていきたい。正確に、誠実に。