【11月16日付編集日記】食と地産地消

 

 「三方一両損」という話がある。三両のお金を落とした人と拾った人が、ともにお金を受け取ることを拒む。この争いを裁く役人が一両を出し、二人に二両を渡す。三者がそれぞれに一両の損をして解決するという内容だ

 ▼名奉行大岡越前の逸話として知られるが、原型は江戸時代に現在の福島市を治めた板倉氏の祖、板倉勝重の裁きとされる。勝重が拾った金額と同額を出すことで、二人に公平にお金を渡すという違いはあるが、良くできた筋書きだからこそ世の中に広まったと言える

 ▼いわき市が、形や色がそろわないなどの理由で流通に乗らなかった地元農産物を、公立保育所の給食の食材に使う取り組みを始める。毎月19日の「食育の日」前後に月1回、提供する予定で県内初の試みという

 ▼今月は地元で採れたニンジンとタマネギ、エリンギを使ったサケのコーンクリームかけなどの料理が出る。レシピを考えることで、地元の農産物をうまく活用していく知恵も磨かれるだろう

 ▼子どもには地場産品に親しむ機会となり、農家には売れなかった作物が収入に変わる利点がある。市販品に比べ安いため行政は経費削減を期待する。三者が得するこの仕組み。広がっていけば面白い。