【11月17日付編集日記】安積町音頭

 

 世界中の遺跡や神話などから、人類は太古の昔から踊りに親しんでいたことが分かる。しかし、どうして人は踊りに引かれるのか。本県出身で民族舞踊研究家の本田郁子さんは著書「人はなぜおどるのか」で疑問の解明に挑んだ

 ▼体をリズミカルに動かすことで脳は快感を得ることができるが、本田さんはそれだけが理由ではないと指摘する。踊りには「人と人との結びつきをつくるなにものにもかえがたいたいせつな役割があった」からだと記す

 ▼かつて郡山市安積町で親しまれていた踊りが復活しようとしている。1956年に誕生した「安積町音頭」だ。地域のイベントなどで踊られていたが、65年の市町村合併後は踊る機会が減り、その存在を知る人も少なくなっていた

 ▼地元の有志らが約半世紀ぶりに安積町音頭をよみがえらせようと保存会を設立した。今月末には指導員を養成する初の講習会が開かれる。保存会の役員は「活動を通して地域のつながりや愛郷心を育てたい」と話す

 ▼安積町は台風19号で大きな被害を受け、住民らは懸命の復旧に当たる。地元の豊かな自然や文化を歌い上げる安積町音頭が住民らを励まし、地域が一つになって再興に向かう後押しになるといい。