【11月20日付編集日記】建物の再生

 

 「建築再生学」という新しい学問分野がある。研究する東大大学院特任教授の松村秀一さんは、建築という言葉から新築を思い浮かべる発想は「時代遅れなものになりつつある」と指摘している

 ▼人口が減少傾向にあり空き家が増える中、松村さんは、用を足さなくなった建物をよみがえらせ、豊かな生活環境をつくることが大切な時代になっているという。そのためには、既存の建物の価値を高めることが軸になるとしている(「建築再生学」市ケ谷出版社)

 ▼東日本大震災の後、使われなくなった田村市のレストハウスが新たな交流拠点として生まれ変わる。設計に携わったのは、郡山市の国際情報工科自動車大学校の学生7人で、まもなく改修工事が始まる

 ▼改修ではバーベキューを提供していた建物内部を一新し、多彩な用途に使うことができるフリースペースを設ける。休憩やイベントに活用できる机25台は学生たちの手作りだ。さまざまな形に組み合わせて使ってもらえるよう、机は台形にした

 ▼来年1月の完成に向け、学生らは工事に加わる。「多くの人に利用してほしい」と願う学生たちが情熱を注ぎ再生を目指す建物は、地域の復興を力強く後押ししてくれるに違いない。