【6月25日付編集日記】電話帳

 

 曇天の空を眺めていて、かつて電話で「177」にダイヤルし、天気予報を確認していたことを思い出した。遠足や運動会の前日など、受話器から聞こえてくる音声に一喜一憂していた

 ▼この177は明治時代、元首相で早大創設者の大隈重信の電話番号だった。東京―横浜間で電話が開通した1890年、日本で初めて発行された電話帳「電話加入者人名表」に残されている。わずか197件分の名前と番号が記された紙1枚の電話帳だ

 ▼NTT東日本などが出している電話帳「ハローページ」が来年10月以降、順次発行を終了する。全国の約900地域別に発行され、個人名編の掲載件数は、30年前のピーク時で2600万件に上った。最初の197件を思うと、感慨深い

 ▼個人情報保護の意識の高まりもあり、最近はかなり薄くなったが、電話帳は辞書や百科事典と並び、分厚い物の象徴だった。五十音順の膨大な情報からいかに早く、目当ての番号を見つけるかを競った新社会人当時が懐かしい

 ▼必要な番号は携帯やスマートフォンに簡単に記録でき、手帳などに書き残すこともなくなった。気づけば、天気予報もスマホで確認することが多い。デジタル化の勢いを実感させられる。