【10月24日付編集日記】魚食普及月間

 

 大きな店を営む旦那の様子がどうもおかしい。不審に思った妻は、夫の外出に奉公人の権助を同行させる。夫は妻の意図に気づき、権助に「ご主人さまは釣りを楽しんだ後、知人の方と出かけました」と、うその報告を命じる。魚を買って、釣果として妻に見せるよう金も渡した

 ▼権助の選んだ魚がまずかった。目にひもの通った目刺しにかまぼこ、それに江戸ではとれないスケソウダラ。それを見せられた妻は怒るよりもあきれてしまう。落語の「権助魚」。近頃、魚と言えば切り身や料理でしか見ておらず、権助を笑えない―という人も多いのでは

 ▼総務省の家計調査で、減少傾向にあった家庭の生鮮魚介の購入量が昨年、5年ぶりに前年を上回った。子どもに人気のマグロやサーモンに加え、カレイなど調理が必要な魚の購入も増えた

 ▼本県は、寒流と暖流のぶつかる豊かな漁場で取れる「常磐もの」が自慢だ。漁業者が東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの再起を目指すなか、魚の消費が増えているのは朗報だろう

 ▼10月は魚食普及月間である。魚料理をじっくり味わいつつ、それを取ったり加工したりする人、調理してくれる人に感謝する。そんな食欲の秋も悪くない。