【10月27日付編集日記】万世大路

 

 東北中央道の福島と米沢を結ぶ区間が来月、開通から4年を迎える。所要時間が短くなり、人の行き来も活発になっているようだ。奥羽山脈を越え、県境の栗子峠を抜ける道路としては、第4世代に当たる

 ▼第1、2世代が、明治期に開通した万世大路だ。難工事を乗り越え、荷馬車が通れるようになり、改良の末に車の通行も可能になった。第3世代は半世紀余り前に整備された現在の国道13号「栗子ハイウェイ」。大路は役目を終え廃道となった

 ▼この道は旧道などを訪ね歩くマニアから「廃道の聖地」と呼ばれているそうだ。当時の先端技術を生かした歴史的な地域資産として、土木学会が認定する土木遺産にも選ばれている

 ▼かつてのスキー場のリフト跡などを抜け、冬場の巨大氷柱で知られる二ツ小屋隧道(ずいどう)の先まで足を延ばしてみた。手すりが崩れかけた橋が目を引く。県外から車で訪れ、歩く人の姿もあった

 ▼万世大路の保存を目的に活動する団体が伐採などをしたばかりで道中は歩きやすく、頭が下がる思いだった。沢に下りると橋のたもとで誰かがキャンプでもしたのだろうか。空き缶やブルーシートが放置されていた。後世に残すのは世代を超えた歴史と景観だけでいい。