【1月19日付編集日記】正直古墳

 

 戦後の考古学をリードした大塚初重さんは70年前から県内各地の古墳の発掘調査に携わった。県内に保管されている大塚さんが描いた古墳のスケッチ画は、現場をじっくり観察する研究姿勢を物語る

 ▼全国の古墳で発掘を重ねた大塚さんは、時代ごとに古墳の内部構造や副葬品の形式があり、当時の社会を探る手がかりになると評した。古墳研究は「日本の成り立ちを解き明かす方法」と説いている(小学館「土の中に日本があった」)

 ▼大塚さんも訪れた郡山市の大安場史跡公園に程近い正直(しょうじき)古墳群で、3年前から発掘していた「正直35号墳」の現地見学会が先月開かれた。古墳時代前期に造られた全長37メートルの前方後方墳だ

 ▼埋葬施設は確認されていないものの、時代の異なる土器なども多く出土している。前方部と後方部をつなぐ、くびれ部分から検出された赤色面は鉄分を含んだ顔料と判明し、祭祀(さいし)の痕跡とされている

 ▼大塚さんは約15年前、同市で講演し、正直古墳群の周辺地域に有力豪族がいた可能性を指摘している。これまで43基が確認されているが、市が調査したのは12基で今後も発掘を進める。先人がどのような地域づくりをしていたか、解明につながる新発見が楽しみだ。