【5月14日付編集日記】只見川のたまもの

 

 学生の頃に、世界史の授業で「エジプトはナイルのたまもの」という言葉を教わった人は多いだろう。これは古代ギリシャの歴史家ヘロドトスが著書に書き記したもの。雨期で氾濫したナイル川の水が平原の畑に養分をもたらしたことを表現している

 ▼何年も洪水がないと作物が育たず飢饉(ききん)になる。そのため古代エジプト国家は「ナイロメーター」という水位測定所を建設し、氾濫の兆候を分析した。以来、ナイロメーターは近代まで何千年にもわたってエジプトで使われてきた

 ▼メソポタミア、エジプト、インダス、中国の世界四大文明は全て川沿いで興っている。人類が栄えるためには水が必要不可欠なため、人々は古来、治水技術の発展に注力してきた

 ▼只見川も日本を長く支えてきた。只見町の田子倉ダムなど6町村のダム9基は水力発電で戦後復興に大きく貢献したことなどが評価されて昨秋、土木遺産に認定された

 ▼ダムは観光スポットの側面も持つ。土木遺産認定から初の新緑の時期を迎えた今、多くの人が絶景を堪能する。地元自治体などは今後、ダムを巡るインフラツーリズムを充実させてさらなる誘客を図り、地域振興につなげる。これも「只見川のたまもの」だろう。