【8月14日付社説】なりすまし詐欺/声掛け合い被害防ぐ工夫を

 

 自分だけはだまされないと過信せず、詐欺に遭わないための工夫を学んでおくことが重要だ。

 県警によると、今年1~7月に県内で被害が確認された「なりすまし詐欺」の件数は70件で、被害総額は1億1778万円に上っている。前年同期と比較すると、件数は7件減っているものの、被害額は960万円ほど上回っている。このうち、キャッシュカードを盗まれたり、だまし取られたりして現金を引き出される被害が37件で、全体の半数を占めている。

 実際に県内であったのは、警察官を名乗る人間が電話で「あなたの口座から現金が引き出されている。金融庁の人間がカードを確認しに行く」とだます手口だ。しばらくすると、本物の金融庁の身分証に似せた身分証を持った人物が訪れて「カードと暗証番号を書いた紙を封筒に入れてください。数日間封印します」と言う。

 その上で「印鑑を持ってきて」と持ちかけ、被害者が印鑑を取りに離れた隙に別のカードが入った封筒とすり替えてしまう。数日後に被害者が封筒を空けた時には、すでに現金が引き出されている。この手口は従来、「窃盗」に分類されてきたが、全国的に被害が多発しているため、警察庁は7月からなりすまし詐欺の統計に反映させて警戒を呼び掛けている。

 警察官や官公庁、金融機関などの職員がキャッシュカードや通帳を預かったり、暗証番号を聞き出したりすることはない。もっともらしい巧妙な口実だったとしても詐欺だと疑い、決して口車に乗らないことが大切だ。

 ただ、なりすまし詐欺で現金をだまし取ろうとする集団は次々と新たな悪知恵を働かせる。官公庁を名乗って信用させたり、親しい人がトラブルに巻き込まれ急に現金が必要になったとだまして被害者を焦らせたり、あの手この手でだまそうとしてくる。

 このため県警では9月から、家の電話をいつでも留守番電話に設定しておくよう呼び掛ける活動を展開する。受話器を取って急に耳元でまくし立てられると不安になってしまうが、留守番電話を通じた声ならば一呼吸置いて冷静に対応することができる。また、だまそうとする人間は声を録音されることを嫌うため、相手が電話を切る効果があるという。被害を防ぐ対策として実践してみてほしい。

 夏休みの間は、帰省などで家族や親戚と顔を合わせる機会が増える。オレオレ詐欺にだまされないよう電話をかける際の合言葉を決めるなど、声を掛け合い防犯意識を高めていくことが欠かせない。