【8月15日付社説】終戦の日/平和への誓い次代に継承を

 

 令和の時代に入り、初めての終戦の日を迎えた。戦没者に哀悼の意を表し、平和への誓いをより強固なものとする日としたい。

 第2次世界大戦では全国で約310万人が犠牲になった。このうち旧日本軍兵士は本県出身者約6万6千人を含む約230万人で、原爆投下や本県などへの空襲で一般人約80万人も命を落とした。

 福島市の農学者星埜惇さんは90歳を超えた現在も、自らが目にした原爆投下直後の広島市の様子を年数回語り続けている。同市の旧制高校に入学して数日あまりだった星埜さんは実家のある呉市に向かう途中で原爆に遭い、広島市に戻って、級友の捜索、救助に当たった。川一面に犠牲者が浮かぶ悲惨な現場でようやく見つけ出した友人は学生寮に運ばれる途中、覚えたての寮歌を口ずさみながら息絶えたという。

 星埜さんら戦争経験者の記憶は74年を経てもなお鮮明で生々しい。当時の体験がいかに強烈だったのかがうかがわれる。当事者の生の声を聞くことで戦争の過ちを二度と繰り返してはならないという思いがより強く伝わってくる。まわりに戦争経験者がいる人は話を聞いてみてほしい。

 戦没者の家族で県遺族会の会員は7004人(2月現在)で、最も会員が多かった昭和末期の3分の1以下に減り、高齢化も進んでいる。同会は戦没者の子や孫に会員となってもらうよう呼び掛けたり、孫世代の組織をつくったりしているが、追悼行事や戦争体験を話す活動の担い手減少は避けられない状況だ。

 戦争の記憶を引き継ぐ役目は体験者や遺族だけが負うものではない。今日の平和を享受する一人一人が平和の尊さを後世に伝えていく担い手であると肝に銘じたい。

 同会は戦争や戦災遺児としての体験を子どもたちなどに伝える「語り部」活動を展開しているが、2018年度に活動が行われたのは川俣町のみだった。同会によると、学校ごとに内容を決める「総合的な学習の時間」の授業時間が削減された影響などで、語り部の話を聞く時間をつくることが難しくなっているという。

 若い世代が戦争について考えることは平和を守り続けていくためには欠かせない。県教委、各市町村教委は戦争体験を聞く時間などを設ける工夫が求められる。

 10月に福島市の県文化センターで国立博物館「昭和館」などによる巡回展が開かれ、県内などから集めた戦争に関する手記や写真が展示される。戦時中の県内の様子を学ぶ機会としたい。