【10月10日付社説】関電会長が辞任/幕引きとせず全容解明急げ

 

 関西電力の役員らが高浜原発のある福井県高浜町の元助役(故人)から多額の金品などを受領していた問題を巡り、関電の八木誠会長が辞任した。

 辞任の理由について、八木会長は会見で「信頼を失墜させ、迷惑を掛けていることへの経営責任を明らかにする」と説明したが、本心からの言葉だろうか。本来であれば、社会通念の範囲を超える計3億2千万円相当の金品を長期にわたって幹部らが受け取り続けていた問題の発覚時点で、速やかに辞任するのが筋だったはずだ。

 八木会長はこれまで「原因究明と再発防止に全力を尽くす」などと述べ、役職にとどまろうとしていた。しかし、政府や国会、世論の厳しい声に抗しきれず、追い込まれる形で辞任することになった。遅きに失した決断であり、関電の自浄能力の欠如や社会との認識のずれを改めて浮き彫りにした辞任劇と言わざるを得ない。

 関電のもう一人の経営責任者である岩根茂樹社長は、新たに発足させた第三者委員会の調査結果を待って辞任するという。社外の弁護士らでつくる第三者委員会は、元助役や関連する企業からの金品の受け取りの問題に加え、問題発覚後の関電の対応は妥当なものだったのか、他にも同様の事案はなかったのかなどを調べ、年内に結果をまとめる見通しだ。

 関電が発表した社内の調査委員会の報告書では、関電幹部と元助役の不適切な関係が浮かび上がった。その後、元助役と関係が深く、関電から入札を伴わない「匿名発注」を受けていた地元建設会社が直接金品を渡したケースがあることも分かり、原発マネーが還流していた疑惑は否定できない。

 安易な幕引きを許してはならない。第三者委員会には、問題の全容解明を急ぐことを求めたい。

 ただ、政府や国会が第三者委員会の調査結果が出るのを待ち、関電の問題を棚上げにしておくことは認められないだろう。関電に安全を第一に地域と向き合うことが求められる電力会社としての資質はあるのか。監督官庁による聞き取りや国会審議などを通じて徹底的に究明することが、国民に対する責務だと肝に銘じてほしい。

 今回の問題を、金品を返そうとすると「無礼者」などと激高したとされる元助役の個性や、法令順守の意識が乏しい関電の企業体質に由来すると判断してしまうことは拙速ではないか。東京電力福島第1原発事故後の電力会社が、それぞれの原発でどのような取り組みを進めてきたかを検証する契機にしなければならない。