【10月16日付社説】台風19号・甚大な被害/全容把握急ぎ的確な支援を

 

 大型で強い台風19号は、本県に大きな被害をもたらした。阿武隈川など多くの河川で堤防が決壊するなどして市街地に濁流が流れ込み、福島民友新聞社の調べでは15日午後11時現在、全国で最も多い26人が亡くなっている。

 被災した地域は、中通りや浜通りを中心に県内全域に及んでおり、行方不明者の捜索などが続いている。大規模な浸水の影響もあり、家屋や農地の損害も詳細は分かっていない。県と市町村が連携を密にして被害の全容を把握し、スピード感を持って的確な対策につなげていくことが重要だ。

 河川が氾濫した自治体では、公共施設などに避難所が開設され、県によれば全県で1700人を超える住民らが身を寄せている。自宅に大きな被害がなくても、断水などが続いて日常生活を取り戻すことができない地域がある。大規模な災害を目の当たりにするなどして、ショックで体調がすぐれない人もいるだろう。

 災害の初期には、住民の生命と健康を最優先にした対応が求められる。高齢者や子ども、障害がある人など「災害弱者」とされる住民を中心に、被災地域で十分な心身のケアが行われているのか。必要な救援物資が不足しているようなことはないだろうか。県や市町村には、一人一人に目配りした支援に万全を尽くしてもらいたい。

 台風の風雨は収まったが、災害はいまだに継続中であるという認識を持たなければならない。記録的な量の雨が降り、河川の周辺や山間部の傾斜地などでは地盤が緩んでいることが考えられる。決壊した堤防や通行止めとなっている道路の応急措置は、まだ始まったばかりというのが現状だ。

 国や県、市町村が手分けして危険が想定される箇所の点検を徹底し、土砂崩れなど不測の二次災害を未然に防ぐ努力が欠かせない。その上で、自衛隊や民間企業などと協力しながら、生活の基盤となる水道や電気、道路交通の速やかな復旧に向けた取り組みを着実に進めていってほしい。

 水が引いた被災地では、住民らによる家屋の片付けなどが行われている。水害で運ばれた水や泥には細菌などが含まれていることがあり、手袋やマスクを着けるなどの対応が必要となる。決して無理をすることなく、安全面に配慮しながらの作業が欠かせない。

 県内初の「大雨特別警報」が出される中、河川の状況や避難に関する情報発信は適切に行われていたのか。近年猛威を振るう台風への備えは十分だったのか。検証すべき課題も多く残されている。