【10月17日付社説】台風19号・避難の在り方/危機意識共有する仕組みを

 

 人命を最優先にした情報伝達と避難行動はどうあるべきかを改めて考え、備えを万全にすることが急務だ。

 台風19号の接近に伴い、気象庁は台風上陸3日前という早い段階で早めの対策と避難を訴えた。気象庁の異例の呼び掛けは、不要不急の外出を控える動きにつながった。上陸した日には本県で初めて、「数十年に一度の雨量」が予想される場合に出される大雨特別警報が発令された。命を守る最善の行動が求められる警報だ。

 各市町村からは避難指示、勧告の情報が出され、各地に開設された避難所には着の身着のままの人たちが身を寄せた。それでも、本県では全国で最も多い犠牲者が出てしまった。この事実は重く受け止めなければならない。

 避難情報が切迫感を持って伝わったのか、命を守るための避難行動を取ることができたかなど課題は多く残った。より住民目線で情報を伝え防災につなげていくために工夫できることはなかったか。

 県、各市町村は今回の被害を検証し防災、危機意識を地域住民としっかり共有できる仕組みを構築することが求められる。

 各市町村は河川が氾濫した場合に浸水する可能性のある区域を表示したハザードマップを作成している。マップを参考に避難したり河川の水量を観測するインターネット上のライブカメラなどと併せて避難を判断した住民もいた。

 各市町村は、マップの有効性をより高めるために、実際に浸水した地域とマップ上の想定エリアを比較し、浸水の想定範囲はどうあるべきかなどマップの見直しも検討してもらいたい。

 今回の台風被害で亡くなったのは高齢者が多い。大雨が降り続く中、夜間に避難することをためらい自宅で過ごした人たちもいただろう。各自治体は要支援者としてリストアップしているが登録希望者の情報収集が自治体によって差があるのが現状だ。「災害弱者」とされる人たちの支援を充実させていくことは大きな課題だ。

 1人暮らしの高齢者や体の不自由な人たちが自分で命を守る自助や、行政機関が支援する公助には限界がある。地域のコミュニティーが災害時に力を合わせる共助が重要になってくる。

 災害が差し迫っているときに隣近所で声を掛け合い、一緒に避難を促すことは減災につながっていく。そのためには普段の付き合いを大切にしながら「ご近所力」を高めていくことが必要だ。県、各市町村は地域コミュニティーの育成を支援していってほしい。