【11月8日付社説】「歴史の道」選定/整備進め地域つなぐ契機に

 

 地域に残る貴重な歴史的遺産を見つめ直し、地域振興に活用していく契機としたい。

 文化庁が歴史的、文化的に重要な街道などを顕彰する「歴史の道百選」で、本県の会津・米沢街道の桧原峠越(北塩原村)と、白河・会津街道(会津若松市、郡山市、須賀川市、天栄村、白河市)を新たに選定した。また、佐渡路―会津街道の鳥井峠―束松峠(西会津町)区間を追加した。

 百選は1996年に全国で78件が選定されて以来、23年ぶりに追加された。本県の歴史の道は計7件で全国で114件となった。

 選定されると調査、保存や補修などの整備事業を進める際、国庫補助の対象となる優先度が高まる。各市町村、県はメリットを十分に生かし、連携して街道の整備を進めてもらいたい。

 国は保存、利活用の取り組みを支援していくことが求められる。
 会津・米沢街道は、若松城下から米沢城下まで約56キロを結ぶ。選定された桧原峠越は桧原峠―大塩―関屋の区間。江戸時代、塩泉を使った山塩の生産が盛んだった大塩宿、磐梯山噴火で桧原湖底に沈んだ桧原宿などが知られる。

 白河・会津街道は、若松城下から白河城下まで約66キロを結ぶ。豊臣秀吉による奥州仕置では、伊達政宗が工事を担当し宿駅などを整備した。会津、越後方面と江戸を結ぶ道として、参勤交代やコメなど物資輸送に利用されていた。

 選定された街道沿いには多くの史跡や遺構が残る。街道の歴史はその地域の発展の歴史といってもいい。桧原峠越が選定された北塩原村は、今後の調査、整備の必要性を認識した上で「日常的に利用する街道ではないので、存在を知り歴史に触れる良い機会。地域と地域をつなぐきっかけとしたい」と期待を込める。

 地域の人たちが地元の遺構や文化財により親しみ、理解を深めることが重要だ。対外的な発信にはボランティアの力も必要だろう。
 県内でこれまでに選定された歴史の道には、会津藩士の秋月悌次郎が「北越潜行の詩」を詠んだ地として知られる「束松峠」、戊辰戦争で新政府軍に長岡城を奪われた長岡藩士らが、会津に向かう際にたどった「八十里越」など歴史的に知られる場所が多い。「万世大路」は、選定が認知度向上の原動力となった。

 今回の追加選定を機に、歴史の道でつながった市町村が、相互に連携を深めていくことが大切だ。ネットワークを構成し一体化して人を呼び込む手だてについて議論を深めてほしい。