【11月14日付社説】復興の基本方針/確かな地域再生の道筋示せ

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を巡り、国は2021年度以降の基本方針の骨子案を示した。復興庁の設置期限を10年間延長し、31年3月末までとすることが柱だ。同庁を内閣直属の組織とし、専任の閣僚として復興相を置くなど現状の体制を維持することも明記された。

 復興事業に使う財源については当面5年分を確保し、これまで同様に一般会計から切り離した復興特別会計で運用することが初めて示された。今後は、復興推進委員会などで被災3県の意見を聞いてさらに内容を詰め、年内に基本方針として閣議決定する見通しだ。

 復興の取り組みは、震災から8年8カ月が過ぎた今も道半ばだ。県や被災市町村は、原発の廃炉や避難指示が解除された地域の復興を考えれば、中長期的に国が責任を持って関わる体制が必要と訴えてきた。今回示された復興庁の組織や財源についての考え方は、被災地の要望を踏まえた判断として及第点に達したと評価できる。

 骨子案では、被災地域を「地震・津波被災地域」と「原子力災害被災地域」に分けている。地震と津波の被災地では、5年間での事業完了を目指す。原子力災害の被災地では、10年間を通して本格的な復興事業を展開する。岩手と宮城の両県からは、期間を区切ることについて異論が出ている。

 本県にとっては、原子力災害被災地域の定義が明確でないことが課題だ。復興庁の担当者は「対象とする範囲は、それぞれの政策ごとに決める」とする。原発事故で避難指示が出された地域に必要な政策もあれば、風評対策など全県が対象となる政策もあるだろう。県には、原子力災害からの復興政策が、県内の必要とされる地域で的確に漏れなく実施されるよう、国と十分に協議してもらいたい。

 基本方針には、10年間で取り組む主要事業の方向性が示されることになる。本県関係では、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想を軸とした産業再生などが盛り込まれる方向だ。書き込まれた政策は、国と被災地の間の約束事として位置付けられ、着実な実行が求められる。

 地震と津波、原発事故が絡み合った本県の「複合災害」では、復興の段階が進むにつれて新たな課題が生じてくる。前例もなく、対応するにはその時々の柔軟なかじ取りが欠かせない。県は市町村と連携し、基本方針に机上の復興論ではなく、県民が真に求める被災地の将来像を実現するための手だてが書き込まれるよう、国への働き掛けを強化してほしい。