【11月15日付社説】高校の国語改革/言葉生かす力着実に伸ばせ

 

 高校で2022年度の新入生から新学習指導要領が適用され、国語教育が大きく変わる。

 新要領は、目標として「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力の育成」を掲げている。高校国語もこの目標に基づいた再編だ。背景には国際的な学力調査で日本の子どもの読解力が低下していることや、資料を読み解いて考えを的確に表現する力に課題がみられることがある。

 高校生の思考力や表現力を伸ばすことを目指すという方向性に大きな異論はないだろう。

 国語は、日本人が物事を考える際に欠かせない言語を磨く重要な科目だ。県教委や各高校には、国語の授業を通じ、生徒の物事を筋道立てて考える力や自身の考えを適切に表現したりする力を着実に伸ばしていくことが求められる。

 新要領では主に1年生で学ぶ必修科目が現在の「国語総合」から、資料を読む力や表現力を養う「現代の国語」と、文学に親しむ「言語文化」に再編される。主に2、3年生が履修する選択科目は「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」の4科目となる。

 科目再編を巡り、作家の団体、文学研究の各学会から「子どもが文学に触れる機会が減る」と懸念する声が上がっている。2、3年生で文学国語を選択しない場合、授業で文学作品に触れる機会がなくなることも考えられるためだ。

 小説をはじめとする文学作品に描かれた物の見方や、人の生きようを感受性が鋭敏な青春期に学ぶ意義が大きいのも事実だろう。

 ただ、教科書に載せられる文章などは各科の目的に応じて選ばれるべきだ。文学作品が減る、減らないではなく、目的の達成にはどのような教材が適切なのかを重視した議論が必要だ。

 教員からは「教育内容は教科書がどのようなものになるのか次第だ」という声が多く聞かれる。「文学で論理的な考え方を学ぶことも可能だ」との意見もある。

 文部科学省や教科書会社には、文学作品の積極的な採用を含めて、現場の意見を反映した教科書をつくる努力を求めたい。

 県教委の読書調査では、年齢が上がるにつれ、冊数が減少する傾向がみられる。高校生が1カ月に読む本は1・7冊と低水準にある。1カ月に1冊も本を読まない高校生も4割近くいる。

 学校の授業が文学作品に触れる貴重な機会となっている側面は否定できない。県教委や各校は、授業に限らず、図書室の利用促進を図るなど文学作品に触れる機会を設ける工夫をしてほしい。