【11月17日付社説】教育旅行/体験学習の充実で誘客図れ

 

 県が、2018年度に県内で行われた修学旅行やスポーツ合宿などの教育旅行の宿泊者数や学校数を公表した。宿泊した県内外の小学生~大学生の延べ人数は、17年度に比べ約3万人増の51万7820人で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後初めて50万人を超えた。学校数は7047校で前年度から約200校増えた。

 宿泊者数の増加は12年度から7年連続となったが、延べ70万人超が宿泊した震災前の09年度と比べると約7割にとどまっているのが現状だ。ただ、学校数は震災前の約9割に回復するなど、明るい要素も見えてきている。県と観光関係団体がスクラムを組み、50万人の突破を足掛かりにさらなる誘客に取り組んでいくことが重要だ。

 県は今回、17年度から宿泊者が2千人以上増えた施設に、増加につながった理由を複数回答で聞いた。その結果、教育旅行誘致キャラバンの成果、県外の学校がバスで訪れた際に費用を助成する「県教育旅行復興事業」の効果に加えて、震災から時間が経過したことにより、一度は別の旅行先に流れていた学校や地域からの客足の回復を指摘する声が上位に入った。

 県はこの回答などから、震災後のキャラバンを通じて本県の安全性を継続して訴えてきたことが成果として表れたと分析する。教育関係者や保護者の間で、震災や原発事故からの復興状況への正しい理解が進み、風評が薄まってきているとしたら歓迎すべきことだ。

 本県の教育旅行の宿泊者を都道府県別にみると、首都圏の東京と埼玉、千葉の3都県だけで全体の4割を占める。隣接する宮城、山形、新潟、茨城、栃木の5県では全体の2割に上る。県は、首都圏や隣県の教育関係者へのアプローチを強化し、的確に本県の魅力を伝えることでより多くの教育旅行の実施に結び付けてもらいたい。

 日本修学旅行協会が行った国内修学旅行の実態調査によれば、高校、中学ともに全体の約6割が修学旅行に「体験学習」を取り入れている。同協会によると、単なる施設見学ではなく、生徒が体験を通じて学び、考えるような内容が重視される傾向にあるという。

 さらなる誘客を実現するためには、本県の豊かな自然や歴史文化に触れ、理解してもらうような体験学習を充実させていくことが必要だ。学校が求める体験学習のニーズを踏まえながら、着実に受け入れ態勢を整えたい。震災と原発事故からの復興の現場を巡ってもらう「ホープツーリズム」を、本県ならではの体験学習として磨き上げる努力も欠かせない。