【11月19日付社説】台風19号・文化財の被害/早期修復し地域の宝後世に

 

 本県に甚大な被害を及ぼした台風19号と、その後の大雨は、文化財にも大きな爪痕を残した。県教委のまとめでは、国指定16件、国登録1件、県指定10件の計27件に約2億6100万円の被害があった。調査中の文化財もあり今後、被害額が増える可能性もある。

 文化財は地域のかけがえのない宝である。国と県、市町村は一日も早い修復に向け全力を尽くしてもらいたい。

 被害が最も大きいのは、中世に丘陵地を利用して築かれた山城で、3年前に国の史跡に指定された白河市の「白川城跡」だ。倒木や、斜面が崩れ市道に土砂が流出するなどして、1億2千万円を超す被害が出た。同市の南湖公園では、石碑が傾いたり、斜面が崩落したりする被害があった。

 このほか、国の重要無形民俗文化財「相馬野馬追」が行われる南相馬市の雲雀ケ原祭場地では、競馬コースの土砂が流出する影響があった。秋季競馬大会の会場にもなっているが、今年は会場を市馬事公苑に移して開かれた。

 国指定文化財の修復費用については、国が約5割~7割を補助するが、残りは文化財を所有する自治体や個人の負担となる。白河市の文化財被害額は2億円を超え、雲雀ケ原祭場地の被害額は約4千万円に上る。自治体にとっては大きな負担だ。

 県は、自治体の負担を軽減し修復作業を迅速に進めるためにも、独自の支援策を検討してほしい。

 今回の台風被害では史跡のほか、自治体の歴史資料館などが浸水し、収蔵する古文書などの歴史資料にも被害が出た。本宮市では、市立歴史民俗資料館の古文書などが泥水につかった。県教委は、他の市町村職員や大学関係者、専門家らを含めて職員を派遣し、古文書の洗浄や乾燥などの修復作業に当たった。

 県教委は、田村市、伊達市にも職員らを応援に出しており、3市合わせて、延べ約100人を派遣している。

 学芸員など文化財の専門職がいない自治体は、県内で23市町村に上る。県は被災した文化財の救出、修復などに的確に対応できるよう、相互に応援の職員を派遣する協定を、県内59市町村と年度内に締結する。その後、大学やNPO法人、県文化振興財団とも協定を結びたい考えだ。

 今回のような大規模災害による文化財の被災に備え、各自治体が助け合う体制づくりを進め、先人の貴重な遺産を後世に伝えていく取り組みを、しっかり進めることが大切だ。