【1月4日付社説】GAP認証の推進/「食の安全」取り組み加速を

 

 「食の安全」の先進県としての歩みを着実に進め、本県農業が活気づく1年としたい。

 県内の農業生産の現場で、GAP(ギャップ、農業生産工程管理)の取得が進んでいる。GAPは、環境に配慮し安全性の高い農産物を作ることのできる農場に第三者が「お墨付き」を与える制度だ。県によれば、昨年10月末の取得件数は212件となっている。

 県とJA福島中央会は、東京電力福島第1原発事故による県産品の風評を払拭(ふっしょく)するため「ふくしまGAP。チャレンジ宣言」を行い、取得件数の日本一を目指している。現在進められている取り組みが順調に認証されれば、本年度の目標である累計265件の認証取得は達成できる見通しだ。日本一の実現に向け、取得の動きをさらに加速していくことが重要だ。

 GAPは、2020年東京五輪・パラリンピックの選手村などで使う食材を調達する際の基準となっている。このため、県とJA福島中央会は、五輪施設で県産食材が採用されれば、手塩にかけて安全・安心な農産物を作っている生産者の思いを世界に発信することができると考え、一丸となってGAPの普及に取り組んできた。

 日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は、福島民友新聞社が開いた新春座談会で「東京大会では福島の食材をふんだんに使うことが大切になってきます。海外の人にもしっかりと伝えれば大きなメッセージになります」と、県産食材を使用する意義を語っている。

 これまでの取り組みで、県内ではコメや野菜、果物など73品目がGAP認証を得ている。県は、JOCなどと連携しながら1件でも多い県産農産物の採用を実現させ、原発事故から10年目となる年に本県の農業再生の確かな足跡を残してもらいたい。

 GAPを巡っては、農林水産省が30年までの間に、国内のほぼ全ての産地でGAPの取り組みが行われることを目標にしている。環境を保全し、安全な農産物を生産する姿勢を日本農業の基盤とすることが狙いだ。

 県内では、農業系の高校など10校がGAPを取得している。将来の本県農業を担う若い世代の間で、GAPに対する関心が高まっていることは貴重な財産だ。県には、生産者の作ったGAP認証の農産品が、県内の流通業者や飲食業者に積極的に取り扱われ、消費者の元へ届けられるという「食の安全のネットワーク」を全国に先駆けて確立し、本県農業の振興に結び付けてほしい。