【5月29日付社説】中合閉店へ/にぎわい創出へ最善策探れ

 

 福島市の老舗百貨店、中合が福島駅東口の中合福島店を8月末で閉店する。市民らに長年親しまれた百貨店が県都の玄関口から姿を消すことは、地域経済はもとより、市街地のにぎわい創出や活性化を進める上で大きな痛手といえる。

 中合によると、福島店の売り上げはピーク時の1992年度に約200億円に上った。2017年に隣接する2番館が建物の耐震化問題で営業を終了し、売り場面積は縮小したが、17、18年度は収益が改善した。しかし昨年度は消費増税、東日本台風の影響もあり、売り上げは約60億円にとどまった。

 懸念されるのは雇用の問題だ。約100人の従業員は、中合が加わっているイオングループなどに再就職があっせんされるが、テナントの151店舗で働く約350人については不透明だ。中合は、福島市やハローワーク、福島商工会議所などと連携し、雇用の維持・確保に努めてもらいたい。

 テナントや取引先への影響も注視しなければならない。市は中心部の空き店舗などにテナントを誘導し、家賃補助などの支援策を拡充する方針を示した。事業者にとって売り場の確保は、まさに喫緊の課題だ。中心部の空洞化対策にもつながる。買い物の場が減ってしまう消費者の利便性も考慮した、早急な対応が求められる。

 福島駅東口では、市や地権者などによる大型複合施設を核とした再開発計画が進む。複合施設には商業店舗やホテル、マンション、市が整備する交流・集客施設などが入る予定だ。中合福島店の閉店も、入居している「辰巳屋ビル」が取り壊されるため判断された。

 人口減少や郊外型の大型商業施設との競争など、国内の百貨店経営は厳しさを増している。インターネットによる通販が普及し、消費者の志向や購買行動も変化している。日本百貨店協会が毎月、売上高などを調査している対象店も昨年1年間だけで10店減った。

 複合施設には中合の出店も想定されていたが、百貨店のこうした経営環境などを踏まえ断念した。今後、キーテナントなどの調整が進むとみられる。県や市、地権者などは、消費者ニーズや今後の生活スタイル、近隣商圏の動向などを見極め、にぎわいを創出する地方都市のモデルとなるような商業形態を模索していく必要がある。

 山形市の百貨店や青森市のホテルなど、県外でも地域を代表する老舗企業の自己破産が相次いでいる。今後、コロナ禍がもたらす影響は未知数だ。県や市町村は、地域経済の衰退を招くことがないような対策を検討すべきだ。