【6月5日付社説】少子化大綱/育児まで切れ目ない施策を

 

 国の少子化社会対策大綱が決まった。5年おきに改定しており、第4次の今回は2025年までの子育て施策の指針となる。

 昨年生まれた子どもの数は推計で86万4000人と、統計開始から初めて90万人を下回った。少子化は国の想定を上回るペースで進んでおり、これまでの施策が十分に成果を発揮していないともいえる。国や県は、課題を検証し、強い危機感をもって効果的な施策を展開することが求められる。

 大綱は、若い世代が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率」の1.8実現を目標に掲げた。しかし女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は2年前で1.42にとどまっている。

 本県も厳しい状況にある。18年の合計特殊出生率は、北海道・東北・関東で最も高い1.53だったが、全国順位は前年の12位から20位に下げた。現在の人口を維持するために必要な水準の2.07にもほど遠い。

 県が昨年実施した県民意識調査では、理想の子どもの数は平均2.54人となった。一方、子どもを持てない理由に「子育てや教育にお金がかかり過ぎる」「子育ての精神的・肉体的負担が大きい」の2項目が多く占めた。こうした課題の解消が少子化解決の糸口になる。

 妊娠から出産、子育てまで安心して取り組めるよう、国や県が切れ目なく支援していくことが大切だ。懸案の「2人目の壁」を解消するため、子どもの数や年齢に応じた児童手当や、育休給付金の充実なども有効な施策だろう。

 未婚化や晩婚化も少子化の原因とされる。本県の未婚率(15年)は20代で男女とも全国平均を下回っているが、30代になると、男性は30~34歳が46.5%、35~39歳が35.7%と全国平均を上回る。平均初婚率も高齢化傾向が顕著だ。

 県は「出会いの場の提供」などで改善を目指しているが、全国的に非正規労働者が増える中、金銭的な理由で結婚をためらう人も多いとされる。国や県には、非正規労働者の待遇改善や正社員化を企業などに促し、若者の経済的な基盤の安定につなげてほしい。

 男性の育児・家事への参画促進も大切な視点になる。大綱は、育児休業の分割取得や、取得を後押しする企業への支援などを求めている。コロナ禍でテレワークなどが推奨され、働き方が大きく変わってきた。男女の育児・家事負担の平等化、子育てで離職した女性の再就職は出生率の改善に効果があるとされる。県は企業などと連携を図り、子育てしやすい労働環境の構築に努めてほしい。