【7月12日付社説】自転車の観光振興/猪苗代湖の魅力を生かそう

 

 県の県中地方振興局は、自転車の愛好家を対象にした観光振興策を進めている。管内各地にモデルコースを設定してホームページなどで紹介するとともに、ロードバイクなどスポーツ自転車の貸し出し拠点を設置し、県内外からの誘客を目指す。本年度は猪苗代湖を1周する「イナイチ」コースのPRに力を入れる。

 健康志向などを背景に自転車人気は高まっている。多くの愛好家を引き付ける魅力を発掘して広く発信し、地域の活性化につなげていきたい。

 同振興局は昨年、旅行客に利用してもらうことを想定し、郡山市の市街地に自転車の貸し出し拠点を設けた。さらに本格的な愛好家を呼び込もうと、猪苗代湖岸沿いの景色を楽しみながらサイクリングする約80キロのイナイチを前面に押し出し、今月には磐梯熱海温泉にも貸し出し拠点を設置した。

 参考にしたのは愛好家から「ビワイチ」と呼ばれている琵琶湖(滋賀県)の周回コースだ。ビワイチは全長約190キロで沿線には歴史的な名所が点在している。年間10万人以上が訪れるほどの人気があり、国土交通省は昨年、日本を代表する自転車コースとして世界に発信する「ナショナルサイクルルート」に初めて選んだ。

 猪苗代湖周辺にも世界的医学者である野口英世の生家や磐梯山、会津藩ゆかりの史跡など見どころは多い。湖岸から足を延ばして周辺の観光や食を楽しむことができるような周遊コースを設定して誘客すれば、地域への経済波及効果が期待できる。周辺の商店や飲食店などに自転車のスタンドを設置するなど、立ち寄りやすい環境をつくることが必要だ。

 多くの人に訪れてもらうには、安全で快適なコースの整備も欠かせない。例えばビワイチのコースは車道の路肩に青いラインを引いて自転車が走るスペースを明示しているほか、外国人にも分かるよう絵記号でコースを知らせる「ピクトグラム」を設置している。

 一方、イナイチはまだコース上に案内板などはなく、途中で一時、湖岸から離れた場所を走るため「コースが分かりにくい」との声が聞かれる。案内板の整備とともに、コースを案内してくれるスマートフォン用アプリの開発なども進めてほしい。

 県内には、いわき市の「いわき七浜海道」や、塙町の「三角形の道」など魅力的な自転車コースがある。こうしたコースを組み合わせて広域的な観光資源としてアピールすれば、県内全域の交流人口の拡大につながるはずだ。