【9月30日付社説】災害住宅の孤独死/対策強化へ現状把握を急げ

 

 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の被災者向けに建設された災害公営住宅で、誰にも気付かれることがないまま亡くなる「孤独死」が課題となっている。

 県によると、県が管理する原発事故被災者向けの公営住宅約4400戸では2016年度以降、20人の孤独死が確認されている。このほか、8月には南相馬市が管理する住宅に住む60代男性が亡くなっているのが見つかった。

 孤独死は発生から25年が経過した阪神大震災の災害公営住宅でも問題化している。被災者以外の人も入居しているものの、兵庫県では昨年も70人超が亡くなっているのが見つかった。県内の災害公営住宅でも孤独死はさらに大きな課題となる恐れがある。復興庁などは、一人でも多くの命が救えるよう有効な対策を講じるべきだ。

 共同通信のまとめによると、本県の災害公営住宅の孤独死は30人を超えている。ただ、公営住宅の管理は県や市町村に分かれて行われており、復興庁では孤独死を震災関連死に含めて単独では集計していないことから、正確な状況は分かっていない。同庁などは孤独死の状況を調査するなどして、現状の把握を急いでほしい。

 県は、管理する住宅の指定管理者を通じ、65歳以上の高齢者を月1回程度、戸別訪問して安否を確認している。各市町村の社会福祉協議会は生活支援相談員による見守り活動を行っている。一人で暮らす人の命綱といえる存在だ。

 一方、新型コロナウイルス感染症の影響も出てきている。浪江町から南相馬市の公営住宅に避難した60代男性の死亡が分かるまで2カ月かかったケースは、新型コロナで直接面会できないことが発見の遅れた一因となった。

 県はこのケースを受け、安否が数日にわたり確認できないなど緊急性がある場合は、警察や保証人の立ち会いで入室して確認することを関係機関に改めて通知した。新型コロナを含めた社会環境の変化に対応して、住民を見守る仕組みの構築が求められる。

 復興庁は、見守り活動などが孤独死の防止に一定の効果を上げているとした上で、家の中に閉じこもりがちな入居者など、地域社会にうまく参加できていない人への支援は不十分と分析している。

 ある市町村の担当者は「見守りなどへの応答を拒む人もおり、どこまで踏み込んで対応するかが難しい」と話す。被災者の高齢化や単身世帯の増加で、見守りなどの目が行き届かない人はどうしても増えてくる。こうした人々をどう支えていくのかは今後の課題だ。