【4月9日付社説】看護職員の確保/復職しやすい環境整備を急げ

 

 技術や経験を備えた潜在看護師の復職を促し、人材不足に直面する医療現場を支える必要がある。

 県看護協会は今月、離職中の看護師らの就業を無料で支援する県ナースセンターのサテライト施設をいわき市に初めて開所した。週2日、相談員を配置し、求職者の相談に応じるほか、同市内の医療機関の求人開拓などに取り組む。

 県内では看護師や保健師、助産師など約2万5千人の看護職員が働いている。しかし医療現場では慢性的に人材が不足している。50歳以上の職員が全体の4割近くを占め、将来の人材確保に不安を残す。特に相双地域では、東京電力福島第1原発事故による避難などで看護師不足が深刻な状況だ。

 県からの委託を受け、同協会が運営するナースセンターは郡山市の県看護会館内にある。求人、求職者が多い浜通りにサテライト施設を設けたことで、求職者らの利便性は高まるだろう。人材を求めている各医療機関のニーズなどを具体的に把握した上で、求職者の相談にきめ細かく応じ、仲介役を果たしてもらいたい。

 結婚や出産などを機に現場を離れ、資格があっても働いていない潜在看護師は、厚生労働省の推計では全国で約70万人に上るとみられる。ただ長期間、現場から離れたことで、知識や技術に不安を抱える人も多く、復職への大きな壁になっている。

 県と県看護協会は再就業支援研修を開き、潜在看護師の復職を後押ししている。昨年度は約40人が受講し、半数ほどが復職したという。医療や看護の現状を知り、採血などの技術を習得できる機会を提供し、現場復帰を目指す人の不安解消に努めることが大切だ。

 県ナースセンターには常時、250人ほどの求職者が登録し、その3倍近い求人数がある。しかし育児や介護のため夜勤ができないなど、業務内容や条件が合わず復職を断念する人も少なくない。

 職員の定着率を高めるためにも働きやすい職場環境を整えることは不可欠だ。雇用する医療機関も日勤限定や時短勤務などの柔軟な働き方に理解を示し、ミスマッチを解消してほしい。

 新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、医師や看護師らは感染リスクにさらされながら献身的に患者の治療に当たり、心身ともに過酷な状況にある。処遇の改善も人材確保に欠かせない。

 今後、ワクチン接種が各地で始まればさらに人手が必要になる。国や県は人材確保や待遇改善のための支援策を強化し、医療現場の負担軽減を図ることが急務だ。