【4月21日付社説】東電の処理水方針/安全と情報公開を徹底せよ

 

 東京電力は安全確保と情報公開を徹底し、度重なる不祥事などで損なった信頼の回復につなげなければならない。

 政府が福島第1原発事故で発生する処理水の海洋放出を決めたことを受け、東電は対応方針を示した。政府の基本方針に沿った内容で、処理水は、トリチウム以外の放射性物質が基準値を下回るまで浄化処理を続け、放出前に放射性物質の濃度を測定、公表する。

 東電は今後、必要な設備の設計や手順など工事の実施計画をまとめ、原子力規制委員会に申請し、認可を得て工事に着手する。

 約2年後に放出を始める予定だが、タンクの貯蔵容量を考慮すれば、一刻の猶予もない。東電は、再びトラブルや不信を招くことがあれば信頼は失墜し、海洋放出の工程に大きな影響を及ぼすことを肝に銘じてもらいたい。

 海洋放出の前提となるのは、放出する処理水の安全性だ。海域ではセシウム137を中心としたこれまでの放射性物質の監視に加え、トリチウムも重点的に測定・評価する。海水のほか、魚類や海藻類を採取する場所、回数を拡充した計画を策定し、放出開始予定の約1年前から始める。

 希釈した処理水が入った水槽などで魚を飼育し、検証するという。安全性を担保するためには、きめ細かな監視体制を整え、専門家など第三者がデータを評価して公開することが欠かせない。データを迅速に、分かりやすく伝えることに注力してほしい。

 対応方針では、水位の監視やパトロールなどの目視で、タンクに保管している処理水の漏えい防止などに取り組むとしている。

 タンクは千基を超えている。最大震度6強を観測した2月の地震では、タンクの位置がずれたことが確認された。目視などで十分な管理が可能なのか、疑問が残る。

 耐用年数を超えたタンクの置き換えや解体などは、長期にわたる作業を進める上で避けられない課題になる。東電は具体的な計画を示し、タンクの管理に万全を期すことが求められる。

 東電はトリチウムの分離技術について、実用可能な技術が確認できれば積極的に検証し、取り入れるという。海洋放出が完了するまで、多核種除去設備(ALPS)の性能向上など、最新技術を反映させることが必要だ。

 国際原子力機関(IAEA)による指導や助言を受けることを明記した。国際法などに照らした評価は不可欠だ。国や東電は、国際社会の理解や信頼を得るための努力を惜しんではならない。