【5月25日付社説】ヤングケアラー/悲鳴上げる前に支援の手を

 

 家族に代わって幼いきょうだいや障害のある親の身の回りの世話、家事などを担っている18歳未満の子ども「ヤングケアラー」の負担を軽くすることは喫緊の課題だ。積極的に救いの手を差し伸べる必要がある。

 厚生労働省と文部科学省の実態調査で、「世話している家族がいる」と回答した中学生が5・7%、高校生が4・1%いることが分かった。世話の対象はきょうだいが最も多かった。

 両省は調査結果を受けて、ヤングケアラーの支援制度を整備する方針を打ち出した。相談の充実や、福祉サービスなどの利用の検討を進める。

 子どもが育児や介護を過分に担うことは学業や進路に影響するだけでなく、同世代からの孤立を招くと指摘されている。ヤングケアラーの存在は、個々の家族の問題ではない。行政などによる福祉サービスが実態に追い付いていないことの結果であり、対応強化は国をはじめとする行政の責務だ。

 調査では、ヤングケアラーの実例として本県の中学生が紹介されており、母親が片付けやごみ捨てなどの家事ができず、本人は母親に代わって家事やきょうだいの世話を行っているとしている。きょうだいは遅刻・早退などの問題も抱えているという。

 ヤングケアラーとみられる子どもがいる学校は中学校、高校とも約半数だった。両省の調査は抽出調査で必ずしも実態を把握し切れていないため、県などに調査を促している。県は早期に調査を行い、対策を講ずることが重要だ。

 実態把握の課題となるのは、ヤングケアラーの概念が知られていないことだろう。両省の調査に応じた生徒の80%超が「ヤングケアラーという言葉を聞いたことがない」と答えた。自分が当てはまるとしたのは中学生、高校生とも2%前後で、当てはまるか分からないとした生徒は10%を超えた。

 ヤングケアラーについて知ることが、自分の状況を見つめ直すきっかけとなる子どももいるだろう。両省は、調査と並行し、ヤングケアラーの存在が多くの人に知ってもらえるよう努めてほしい。

 ヤングケアラーは家庭の外からは見えにくく、潜在化しやすい。子どもと社会の接点である学校は、生徒がヤングケアラーであるかどうか、どの程度の負担となっているかを注意深く見ていくことが大切だ。

 悲鳴を上げたヤングケアラーを救うだけでなく、問題が深刻化する前に、支援のレールに乗せることが求められる。