【10月27日付社説】衆院選・経済と社会保障/現実踏まえた論議求めたい

 

 経済を拡大し、多くの人が所得が増えたと実感できるようにするには、どのような政策が必要なのか。政党や候補者は現実を見据えた議論を展開してほしい。

 岸田文雄首相が「新しい資本主義」と銘打ち、経済成長を図り、所得を増やすことで、社会を支える「中間層」を再構築するとの政見を掲げた。これを受け、「成長と分配」をどう進めるかが衆院選の大きな争点となっている。

 自民党は、世界的な脱炭素の潮流で成長が見込まれる環境やエネルギー関連産業への投資促進などの経済刺激策と併せて、賃上げに積極的な企業への税制支援などを行うとする。野党第1党の立憲民主党は「1億総中流社会」の復活を掲げ、富裕層や大企業の税制を変えるなどして、利益の分配を促進すると訴えている。

 「中間層」の活力を高めるためには、経済を回復させながら、利益が労働者などにも広く行き渡るようにすることが急務との認識は、与野党とも共通している。問われているのは、それを実現させる道筋であることを銘記し、具体的な政策を訴えることが重要だ。

 各党とも、新型コロナウイルスの感染拡大により苦境にある中小企業や、低所得者などへの支援拡充をうたっている。コロナ禍を原因として貧困に陥る人が増えることは避けなければならず、企業や家庭を金銭面で支える政策は不可欠だろう。

 掛かりなのは、こうした政策の予算をどこから捻出するのかということだ。国の借金はコロナ禍への対応もあって増大し、1200兆円に上る。

 各党の政権公約を見ると、減税や分配などに関する訴えが中心で、これまでの国政選挙に比べて財政健全化への言及に乏しい。各党は必要となる財源なども含めた形で政策を示して、有権者の審判を仰ぐべきだ。

 年金をはじめとする社会保障は誰もが安心して暮らしていくために欠かせない仕組みだ。年金を巡っては、自民党の政権公約は「持続可能な全世代型社会保障を構築する」とするにとどまり、野党も踏み込んだ政策を示していない。

 4年後には団塊の世代が75歳以上になる。医療などを含めた社会保障の費用は、今後さらに増大する。社会保障の各制度が今後も持続できるかどうかは、高齢者を支えることになる若い世代にも影響が及ぶ。これからの社会を担う若い有権者は、どの政党、候補者が未来を見据えた政策を訴えているのかを、しっかりと見極めることが大切だ。