【6月24日付社説】参院選・震災と原発事故/現状に即した政策聞きたい

 

 政治が責任を持って牽引(けんいん)しなければ、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興はなしえない。ほかの争点に埋没させることなく、復興の障壁をどう取り除いていくのかを示してほしい。

 事故に伴う帰還困難区域では、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除が段階的に進んでいる。国は拠点外の区域については、2020年代に帰還の意向に応じて必要な箇所を除染し、避難指示を解除するという方針を示している。しかし、帰る人の分だけの除染にとどめるともとれる施策が十分な理解を得ているとは言い難い状況にある。

 多くの与野党が帰還困難区域の将来的な避難指示解除を掲げている。ただ、政策の多くは帰還に向けて産業などの環境整備や、移住定住を図るというもので、解除の時期や方法については具体性に欠けるのは否めない。

 区域外全域の除染は費用の面などから現実的ではないとの見方もあり、国が抜本的な施策をとれない背景の一つとなっている。ただ、それが目標だけを掲げ、実現の道筋をあいまいなままとする理由にはならない。与野党は帰還困難区域の今後について現状に即した議論をしていくべきだ。

 多くの党が震災と原発事故からの復興には、被害の影響が大きかった浜通りに廃炉をはじめとする産業の集積などが不可欠だとして公約に盛り込んでいる。一方で与野党間で主張に大きな違いがみられるのが、除染で出た土壌などを一時保管する中間貯蔵施設と土壌などの取り扱いだ。

 土壌などについては法律で、搬入開始から30年以内に県外で最終処分するとなっている。しかし、自民、公明両党の政策集は、土壌などの減容化や再生利用の促進に言及しているものの、最終処分に向けた手だてには触れていない。

 立憲民主党は最終処分の予定地選定などを進めると主張している。日本維新の会は、30年以内の県外撤去は実現が見通せないとして、科学的根拠を踏まえた上で実行可能な処理計画をまとめると公約に記している。

 土壌などの最終処分や、来年春に始まる予定の第1原発に保管されている放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出には、県内外の理解醸成が欠かせない。

 多くの国民に本県の復興には中間貯蔵と最終処分、処理水の問題が存在していることを知ってもらうためにも、各党には本県だけではなく全国の遊説などで、積極的に復興に関する訴えを盛り込むことを求めたい。