【7月3日付社説】いじめ「重大認定」/子どもを守る気があるのか

 

 子どもを本気で守る気があるのか。学校への不信感が募る。

 県立高校で2020年12月に発覚したいじめについて、県教委の第三者委員会が「重大事態」と認定する調査報告書をまとめた。いじめが原因で精神疾患を発症した当時1年の被害生徒の病状が悪化したことについては、いじめそのものよりも、むしろ学校の「不適切な対応に起因」する部分が大きかったのではないかと指摘した。

 被害生徒は同じクラスの女子生徒3人から仲間外れにされた上、SNS(交流サイト)の投稿で非難され、死にたいと考える「希死念慮」を抱くまでに追い詰められていた。学校の初期対応は、被害生徒への配慮が感じられない粗雑なもので、被害生徒にさらなる精神的負担を与えたという。

 会津地方の女子高生が15年に自殺した問題など、重大な事案が起きるたびに学校側の不適切な対応が問題になってきた。その反省が全く生かされていない。

 今回、問題となった対応の一部を確認したい。被害生徒の相談を受けてから学校として対応するまで、1カ月以上を要した。学校がいじめと認知した後の聞き取りで、SNSの内容を説明する被害生徒に対し、教員から「これはAさん(被害生徒)じゃないんじゃない」などと発言があった。

 いじめは思い込みだとでも言いたかったのか。人の感覚を勝手に押し付けてはならない。

 学校は被害生徒やその家族の要望に応じ、謝罪の機会を設けた。ただ複数の加害生徒が、教員らから「終わりにしたいのであれば謝罪するように言われた」と話している。安易に謝罪させる方針に疑問を持つ教職員もいたが、加害生徒がその行為を省みることができるよう向き合い、真に問題解決を図ろうとする検討はなかった。

 加害生徒の内省が深まらないままの形式的な謝罪は、被害生徒をさらに苦しめた。学校の不適切な対応は、双方の生徒にとって不幸なものだったと言える。

 学校が生徒指導アドバイザーら専門職に助言を求める動きもあった。しかし、報告書はその内情について「当該校が責任を問われることがないかどうかの裏付けを求めているだけ」であり、被害生徒やその家族の支援に直結するものではなかったと指摘している。

 あきれてしまう。専門職の支援は生徒のために生かしてほしい。

 この学校にはいじめ防止の基本方針や対策組織があった。それでも問題は深刻化した。どうすれば児童、生徒を守れるのか。各校の教職員一人一人が考えたい。