【1月16日付社説】障害者の雇用/定着率高める工夫が大切だ

 

 障害者が働きやすく、それぞれの能力や個性を発揮できる環境を整えていくことが大切だ。

 県内の一定規模以上の民間企業に昨年6月1日現在で雇用されている障害者の数が、前年から215人増の5479・5人となり、15年連続で過去最多を更新した。企業の理解が徐々に進んできたことや、就職を望む障害者が増えていることが要因とみられる。

 障害者雇用促進法は企業や国、地方自治体に一定割合以上の雇用を義務付ける「法定雇用率」を定めている。県内の企業の雇用者数は過去最多を更新したものの、2・3%の法定雇用率を達成した割合は56・7%にとどまった。

 国は今年4月に企業の雇用率を現行から2・5%、26年には2・7%に段階的に引き上げる。規模の小さい企業ほど雇用率が低く、職場環境などの受け入れ態勢が整わず、受け入れできていない中小企業もある。国は、雇用実績のない企業への支援や指導などを強化し、雇用率の向上を図るべきだ。

 企業と求職者の接点が少ないことも雇用が進まない背景にあるとされる。国や自治体による障害者対象の就職面接会などが開かれていても参加企業は限られ、求職者の選択肢は少ない。

 国や自治体などは、面接会などのマッチングの場を増やし、さまざまな業種や規模の企業に参加を呼びかけてほしい。

 障害者の雇用を巡っては、就業した後の定着が課題となっている。体力などの問題で離職するケースもあるが、仕事の内容や就労時間、職場の人間関係などが原因になることが多いという。

 国が社会福祉法人の職員らを「ジョブコーチ」として企業に派遣する仕組みがある。ジョブコーチは職場に出向き、障害者には仕事への姿勢や職場内でのコミュニケーションの取り方、雇用主や社員には接し方や雇用管理などをアドバイスする。

 初めて雇用する企業などは、こうした制度を活用することで定着率の向上につなげてもらいたい。

 法定雇用率を満たすため、企業が障害者雇用を請け負う会社などに委託し、本業とは関係のない農業などの作業を行わせているケースがある。国の実態調査によると昨年3月末時点で、約千社が障害者雇用の代行業者を利用し、約6600人が働いていた。

 場所や機会を提供するだけでなく、健常者と障害者がともに意欲的に働き、会社や社会に貢献してもらうことが重要だ。国は、雇用の実態を丁寧に把握し、改善を求めていくべきだ。