【5月14日付社説】大麻の乱用/違法の認識広めるのが急務

 

 大麻の乱用が広がる事態を放置してはならない。取り締まりと更生の両輪で、大麻の害から若者を守ることが重要だ。

 警察庁のまとめによると、全国の警察が昨年、大麻取締法違反や大麻に関する麻薬特例法違反の容疑で摘発したのは6482人で過去最多となり、初めて覚醒剤関連の摘発者を上回った。摘発者の7割超を10~20代が占め、若者への蔓延(まんえん)が深刻となっている。

 本県の摘発者は前年から微減の24人だった。組織的な大麻栽培・密売事件では、20~30代の計8人が逮捕された。この事件では、本県で栽培された大麻がSNSを通じて、全国に譲渡されていたとみられている。県外では大学の運動部の寮などで複数の部員が大麻を使用していたことが、相次いで明らかになっている。

 警察には、SNSの監視を含めた取り締まりを強化し、簡単に大麻を入手、使用できる状況を解消することが求められる。

 大麻についてはこれまで、所持や譲渡は罪となるものの、使用そのものを罪に問う法律がなかった。それが若年層の乱用を助長しているとの指摘がある。こうした状況を背景に、大麻も麻薬取締法の対象にして他の規制薬物と同様に使用罪が適用できるよう法改正が行われた。大麻の不正所持や使用は麻薬取締法違反で7年以下の懲役となる。

 SNSなどでは「依存性が低い」など、大麻の影響を過小に伝える情報が多く見られる。摘発者の8割は大麻の危険性を軽視していたとのデータもある。警察や学校には、乱用防止をテーマにした啓発活動や授業などを通じて、大麻を所持、使用することは違法との認識を幅広い層に浸透させていくことが求められる。

 大麻の乱用は情緒が不安定になり、何もやる気がしない状態や知的機能の低下などにつながる。覚醒剤などに比べて安価で入手しやすいことから、「ゲートウエードラッグ(入り口の麻薬)」とも言われる。入り口を通ってしまった人の再起を周囲が支えなければ、大麻を再び使用したり、覚醒剤に手を出すようになったりすることにつながりかねない。

 法改正の審議の過程では、使用も罰せられることになれば、摘発を恐れるなどして、不正使用者が相談しづらくなるとの意見があった。相談体制の整備や社会復帰の支援に取り組むとの付帯決議が採択された。一度、大麻を使ってしまった人をどう更生させていくのか、早期に有効な具体策を示す必要がある。