【5月18日付社説】規正法の自民案/資金の透明化なぜできない

 

 いまだに党の収入源を守ることしか考えていないのだろうか。国民の政治不信に拍車をかけていることを直ちに自覚すべきだ。

 自民はきのう、政治資金規正法の改正案を単独で国会に提出した。公明党との協議で、政治資金パーティー券の購入者名の公開基準額と、政策活動費の使途公開について折り合いをつけられず、与党案をまとめられなかった。

 パーティー券の現行の公開基準は、1回につき購入額が20万円超となっている。寄付の年間5万円超に対し、パーティー券は基準が緩く、企業・団体献金に代わる資金集めの手段や、裏金づくりの「抜け穴」となってきた。

 両党とも基準額の引き下げの方針は一致している。しかし、寄付と同額の「5万円超」を提示した公明に、「10万円超」とした自民が歩み寄ることはなかった。

 公明の提案は、政治資金の透明性を高める上で最低限の基準だ。それすら受け入れられない自民の姿勢に、政治改革を成し遂げようとする覚悟は見えない。

 政党から政治家個人に支出される政策活動費の使途公開は、現行制度では義務付けられていない。裏金事件では、派閥から還流された資金を、党から支払われた政策活動費と認識し、政治資金収支報告書に記載していなかったと弁明する議員が少なくなかった。

 口実を並べて議員側が不記載の責任を免れることのないよう、使途公開の義務化は不可欠だ。

 政策活動費を巡る自民と公明の溝は、使途公開の範囲にある。自民は「組織活動費」「選挙関係費」など9項目に分類して開示するとした。公明が主張する明細書作成の義務付けは見送った。

 自民が2022年に支出した政策活動費は、総額14億円超に上った。使途公開が必要なのは、巨額の資金が何に使われているのか分からないからだ。

 自民案の分類では詳細が分からず、使途公開とは言えない。明細書の作成を義務付けるなどして、資金の流れを徹底的に透明化することが求められる。

 立憲民主党、日本維新の会などの野党は、企業・団体献金の禁止など、与党よりも踏み込んだ案をまとめている。公明の理解も得られていない改正案で野党の合意が得られないのは明白だ。

 岸田文雄首相はきのう、自民案を「実効性ある再発防止策だ」と語った。自らの指示でまとめたとはいえ、政治改革の名に値しない案への評価は甚だ疑問だ。最初から他党への譲歩を見込むような戦略なら、取り下げるべきだ。