【大沼−福島明成】延長１１回に１点を勝ち越され、マウンドに集まる大沼ナイン＝あづま球場

　夏の甲子園出場を懸けた第９７回全国高校野球選手権福島大会第５日は１３日、福島市のあづま球場など５球場で２回戦１０試合を行い、３回戦に進出する３２校が決まった。会津農林は延長１５回に及ぶ死闘の末、９−８で船引にサヨナラ勝ちした。福島明成は延長１１回までもつれた大沼との接戦を４−３で制した。郡山商は終盤に相馬東を突き放し、４−１で逆転勝ち。春の県大会８強の小高工は１１−１の５回コールドで福島高専に快勝、昨夏４強の白河は１０−１の７回コールドでザベリオを破り、ノーシードの実力校が順当に勝ち進んだ。前期日程は１３日で終了し、後期日程は１８日に始まる。１８日の大会第６日はあづま球場など６球場で３回戦１６試合を行う。３回戦の会場と開始時間は１４日に決まる。決勝は同球場で午後１時開始予定。

　大沼、３年生２人の挑戦に幕
　３年生部員として苦楽を共にしながら、チームを引っ張ってきた大沼の主将高宮篤史と神田駿。逆境の中でも笑顔を絶やさず、最後まで勝利を信じた夏の挑戦が終わった。
　部員不足に悩まされ、昨秋の会津支部予選は喜多方東、西会津、猪苗代、坂下、湖南との合同チーム「会津北連合」に加わった。人数が少なく、練習の準備をする時間が掛かるなど困難を抱えながらも２人は大好きな野球を諦めなかった。４月に新入生１１人が入部、単独チームとしての出場が可能になった。
　２人の気迫がこもったプレーが延長１１回の死闘を生んだ。４回、小林が一塁に頭から飛び込み、バント安打を成功させて反撃の好機を演出。１点を追う８回１死三塁の場面では、神田が「最低でも外野フライを打ちたかった」と中犠飛で同点に結び付けた。
　スタンドではＯＢや保護者が一体となった声援でナインを鼓舞。文字通りの「全員野球」を繰り広げた。「引退しても、みんながつながっている。後輩の面倒を見てあげたい」と泥だらけのユニホームで涙を拭いた高宮。強い絆で結ばれた伝統は次の世代に引き継がれる。
（２０１５年７月１４日　福島民友・高校野球ニュース）