【聖光学院−日大東北】２回裏聖光学院１死一塁、勝沼が左越え三塁打を放ち同点。投手岩城、捕手芳賀＝あづま球場

　福島市のあづま球場で２６日行われた第９７回全国高校野球選手権福島大会の決勝。第１シード聖光学院は投打ががっちりとかみ合い、３−２で第２シード日大東北を下した。先制を許した聖光学院だったが、そつのない攻撃で３点を奪った。無失策と安定感のある守備と、要所を締める投手力で試合を優位に進め、粘る日大東北を振り切った。
　わずか１０球で一気に試合をひっくり返した。１点を追う２回１死一塁。左打席に立った聖光学院の勝沼拓海（３年）は迷わず外角の直球を振り抜いた。風に乗った白球は左翼の頭上を越え、同点の走者が生還。続く柳龍二（同）の内野ゴロで素早いスタートを切った勝沼が逆転のホームを踏んだ。打者３人で奪った２点は「聖光野球」を象徴する電光石火の攻撃だった。
　９連覇の立役者となった勝沼は屈指の守備力を誇る身長１７０センチの二塁手。田村市滝根町出身で「小さいころから憧れていた」という名門へ入学したが、順風満帆ではなかった。「守備も打撃も下手だった」。思うような結果を残せず、泣きながらノックを受けたこともあった。
　「聖光に入った誇りを持ちなさい」。弱音を吐いた時、母栄子さんがいつも背中を押してくれた。主力の座をつかんだ時には、控え部員がティー打撃をサポートしてくれた。
　スタンドに駆け寄ると、感謝の思いがこみ上げ、大粒の涙があふれた。「甲子園でも今までやってきたことを信じてプレーしたい」。勝沼の言葉に確かな自信がみなぎった。血のにじむような努力を重ねた自負を胸に聖地に乗り込む。
（２０１５年７月２７日　福島民友・高校野球ニュース）