【光南―須賀川】９回表須賀川２死二塁、阿部の左前打で本塁に生還し、ハイタッチする二走三瓶（手前右）＝あいづ球場

　第６７回春季東北地区高校野球県大会第４日は１８日、あいづ球場（会津若松市）押切川公園球場（喜多方市）いわきグリーンスタジアム（いわき市）で１、２回戦６試合を行い、白河と小高工が７回コールド勝ちで準々決勝に進んだ。昨秋県大会の覇者、日大東北は４―９で福島工に、３位の光南は３―４で須賀川にいずれも逆転で敗れ、初戦で姿を消した。このほか、いわき勢同士の対戦となった１回戦の磐城と湯本、いわき光洋と平商は、磐城といわき光洋がそれぞれ８回コールド勝ちした。
　第５日の１９日はあいづ、押切川公園の両球場で２回戦６試合を行い、ベスト８の残り６校が決まる。

　「考える野球」で三度目の正直
　土壇場にドラマが待っていた。９回２死三塁、須賀川の三瓶裕哉（２年）は打席で相手の守備位置を冷静に確認した。「サードが後ろに下がっていた。決める自信があった」。１点を追う緊迫した局面。絶妙なバントで三塁線に転がし、試合を振り出しに戻した。
　好機が広がり、主砲の阿部倖弥（同）は「逆風だったので、速いゴロを狙った」と三遊間を破る値千金の一打を放った。二走三瓶が本塁に頭から飛び込み、ユニホームを泥だらけにしながら勝ち越し点を奪った。
　幼なじみの２人は中学３年の時、秋季県大会の決勝に勝ち進んだ須賀川の「自ら考える野球」に憧れ入学を決意した。光南は昨秋と今春の県南支部予選で苦杯をなめさせられた難敵。大会前の練習帰りに「同じ相手に３回は負けられない」と声を掛け合い、雪辱を誓った一戦で、「自ら考えた野球」で最高の結果を出した。
　主将の遊撃鈴木光享（３年）がひざのけがで離脱するなどチームの状況は万全ではない。しかし、「東北大会に行き、先輩と一緒にプレーしたい」と口をそろえる２人。上位を狙う須賀川の道がしぶとくつながった。
（２０１５年５月１９日　福島民友・高校野球ニュース）