川崎、15年の集大成 ロンドンで女子競歩“完全燃焼”
ゴール直前。サングラスを外し、必死の形相で競技人生の終着点を目指した。女子20キロ競歩で1時間30分20秒の今季自己ベストをマークし、18位となった川崎真裕美(富士通、福島市生まれ)の顔には、競歩にささげた15年間のすべてを注ぎ込もうとする思いが詰まっていた。
アテネで40位、北京は14位に入った。現在も日本歴代2位の1時間28分49秒のタイムを持つ日本女子競歩の第一人者。集大成の舞台と位置付け、臨んだ大会だった。
「最初から順位を確保するために前に食らい付き、落ちても16番以内を狙った」。前半から入賞ラインの集団でレースを展開。世界新記録のペースで進むハイレベルな戦いとなったが、川崎は自分の力を出し切ることだけに集中した。「代表に選ばれなかった人もいる。現状の力を百パーセント出すことを念頭に置いた」。2キロを8分30〜40秒ほどで15位から17位の位置に必死に食らい付いた。「応援一つ一つを無駄にせず、持っている力を出そうとした。私は福島生まれ。震災で大変な思いをしても、『頑張って』と笑顔で送り出してくれた」。3歳まで過ごした福島市からの声援も背中を押した。
「結果に合格点はつけられないが、今までのすべてを懸けようとした点は合格点をあげたい」。女子競歩界の第一人者は感慨深げに語り、この大会を最後に第一線を退く考えを示した。
(2012年8月13日 福島民友ニュース)
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