平野歩夢、進化示した「夏冬二刀流」 スノボ・ハーフパイプ「金」
挑戦を続けてきた男が孤高の存在になった。11日の北京冬季五輪スノーボード男子ハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢(23)=TOKIOインカラミ=は、1年延期となった夏季五輪のスケートボード挑戦を終え、わずか半年余りで冬季五輪王者の頂に上り詰めた。
「(北京冬季五輪で)金メダルは厳しい」。大方の予想はこうだった。スケートボード男子パークに出場した東京五輪の延期により、北京五輪開幕の約半年前まで平野歩の姿は雪上にはなかったからだ。
ただ、平野歩は「(スケートボードの)チャレンジで得たものは、メンタルを含めて今までの自分では分からないような経験をできたこと」。異なる環境に身を置いたことによる精神面の確かな成長を実感していた。
昨年10月ごろから雪上に戻ると、技の一つ一つの完成度を急速に高めていった。「歩夢にしかできない」。日本代表のスタッフも脱帽する集中力だった。
金メダルには必要と言われていた、斜め軸に縦3回転、横4回転する大技「トリプルコーク1440」を組み込んだのも平野歩だけだった。けがと隣り合わせの技を1日50本以上飛んできたことを明かし、「ここ(中国)に来る前からひたすら練習してきた」という成果が、大舞台で実った。
"二刀流"の挑戦の物語を、金メダルという結末で締めくくった。次に描く目標は何か。「これからどういう道を進んでいくのかはまた、しっかり考え直していきたい」。平野歩が挑戦の道を進み続けることだけは間違いなさそうだ。(中国・張家口=本社報道部・折笠善昭)
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